170811山の日イベントで出会った大杉谷の仙人とドローンおヤじ

ドローンで渓谷を撮りたい 日本三大渓谷なんて最高な冠だ!

初フライトで自分の未熟さに気付く

「ドローンで渓谷を撮影したら、さぞかっこいい映像が撮れるだろうな!」
そんな単純な動機から日本三大渓谷の一つと言われる「大杉谷」の麓の町に2017年、移住しました。
そもそも日本三大渓谷というのもそれまで知らなくて、私より先に東京から移住した昔の同僚に教えてもらいました。
当初は数回行けば撮れるだろうと思っていましたが、初フライトでその目標はとてつもなく大きな壁に思えるようになりました。
渓谷内は山と谷の高低差が高いため、ドローンがGPSを捕捉できず上昇ができない、とか、樹木で機体が目視できない、とか、風が強くホバリングが安定できない、等々、技術的な問題。そして、そもそも、土地を知らなすぎるので、どこに何があるのかわからない、滝ってどう撮れば滝らしく見えるのかわからない、等、多くの課題が一気に噴出しました。
「渓谷、なめんなよ。」
と言われている気がしました。
少なくとも、山を案内してくれる登山ガイドの必要性を痛感しました。

大杉谷の仙人との出会い

仙人と呼ばれる人がいることは聞いていました。登山初心者ツアーなる催しに参加した際にガイドをやっていた仙人に挨拶程度はしたことがありました。
そして、初めての出会いから1年近く経つ頃、ドローンで撮影したVR映像を見せたことがきっかけでした。
仙人という言葉からは、文明を敵視した世捨て人、のような印象を受けますが、実は、文明や新技術に対して否定的ではなく、VRも喜んで受け入れてくれる人でした。彼は文明から逃げたのではなく、ただ大杉谷をこよなく愛していたので一人大杉谷に住むことになった人でした。

170811山の日イベントで出会った大杉谷の仙人とドローンおヤじ
(2017.8.11)山の日イベントで出会っていた大杉谷の仙人とドローンおヤじ。実はこの3か月前に大杉谷登山道ですれ違っていたことが後で発覚。

そして、私にとって何よりも良かったのは、彼はサラリーマン時代、百貨店で広報を担当していたとのことで、映像や写真等のクリエイティブに明るい。私の撮影したドローン映像に対しても、「この角度は良くない。これは普通じゃ見れないねぇ~」等、的確なコメントを返してくれる。普通の人はドローン映像を観て、ただ「すごい」という感想を述べるだけですが、クリエイティブに携わったことがある人は、その後の発展に向けたコメントを付けてくれる。そして、現場でのドローン撮影時でも、セッティングや撮影にどれくらい時間がかかるか理解しているので、長時間の待ち時間も焦らず待っていてくれる。それらは私にとって非常に有益でした。
彼は「以前、ベータカムで大杉谷を全部撮影したんだけど、テープがダメになって見れなくなったので、誰かに撮ってもらいたかった。取材に来たテレビ局や映像会社の知り合いに撮れって言ってるけど、誰も撮ってくれなかった。」と話しており、大杉谷を映像として残したい、と願う仙人と、渓谷をドローンで撮影したい、という私の願いが一致し、この撮影が可能となりました。

   ドローンおヤじ・井坂治